東京高等裁判所 昭和55年(ネ)546号 判決
まず、被控訴人らは、「新たな請求である諸税及び草刈費用の請求は、本来法的には従来の反訴請求とは別個に求められる請求権であって、追加的単純併合であるとみるべきである。そして右両請求の事実関係は全然別個であって請求の基礎に変更があるとみるべきであるから、本件訴の変更は不適法である。」と主張する。しかし、本件予備的反訴請求は、従前の反訴請求とは別個に、被控訴人らの本訴請求が認容されることを条件として控訴人主張の金員の支払を求める趣旨のものであって、従前の反訴請求の追加的変更と目すべきものではない。従って右予備的反訴請求は、本訴請求との関連において反訴の要件を具備する限り適法というべきであって、必らずしも従前の反訴と請求の基礎を同じくすることを要するものではない。ところで、反訴の要件としては、本訴の請求又はこれに対する防禦方法と牽連することが必要である。これを本件についてみれば、本件売買契約に基づき本件土地(一)(二)につき転用許可申請手続と所有権移転登記手続を求めるという本訴請求に対し、控訴人は本件売買契約の解除を主張して抗争しており、その解除原因として本件売買契約締結後被控訴人らがいつまでも農地転用手続の申出をなさずかつ所有権移転登記手続を経由しないために、諸税公課及び草刈費用の負担等の損害を蒙ったことを事由として主張している。そこで、諸税公課及び草刈費用の支払を求める本件予備的反訴は、右の要件を具備しているものというべきである。されば、被控訴人らの前記主張は採用できない。次に、被控訴人らは、本件の予備的反訴請求は第一審においても当然できたものであり、またこれから新たな請求の事実関係の審理も必要であって、これによって著しく訴訟手続を遅滞させることになるから、この点からするも本件訴の変更は不適法である。」旨主張する。しかし、本件予備的反訴については、前述のとおり、本訴請求に対する反訴請求としての適否を判断すべきである。ところで、訴の変更の一つの要件である著しく訴訟手続を遅滞せしめないということは反訴の要件ではないのであるが、反訴においても、防禦方法と牽連するものは、その防禦方法が随時提出主義の制限を受けて不適法として却下されるときは、反訴もまた不適法となると解すべきである。ところで、本件予備的反訴の請求内容は、前記の如く本訴において抗争している解除の原因事由として、既に原審において控訴人により主張立証されているのであるから、前記の点において不適法とはなりえないことは明らかである。されば、被控訴人らの右主張も採用できないものである。
(渡辺 藤原 渡辺)